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on 10-June-22
目を引く大胆な色づかい。想像力を掻き立てる自由なフォルム。イギリスのAAH YES STUDIO(アー・イェス・スタジオ)の作品は、部屋の片隅に飾るだけで、その場をぱっと明るく、華やかにする力を持っています。スタジオの代表を務めるアイーシャ・ピアースに、どのように発想を広げ、作品をつくっているかを聞きました。
「モチーフにしているのは、ごく身近なもの。たとえば食べ物や建物、動物や日用品など、見慣れた日常から発想を得ていることが多いですね。型にはまったアートやデザインの流れは特に気にしていません。自由にイメージを広げ、何気ない風景や暮らしの瞬間を切り取っている感覚です。」
抽象的な形を巧みに組み合せ、豊かな色彩でまとめていくAAH YES STUDIOの作品。Ladle(レードル、おたま)、Green Tea(緑茶)、Bin Day(ゴミ収集日)と、タイトルを見るかぎり日常の生活を捉えていることは想像できるが、作品を見ただけでは、それが何を表しているのか判断できないものも多い。
「できるかぎりモノの形をシンプルに捉えて簡略化しているので、ひと目見て『これは何?』と疑問に思う人もいるでしょう。でも、描かれているモチーフを一つひとつゆっくりと目で追ってみてください。じっと眺めているうちに、何かしら見覚えのあるものの形が、頭のなかに自然と浮かんでくるはずです。」
素朴ながら強い印象残すアイーシャのアートワークは、どのようなプロセスでつくられているのでしょう。
「目の前に広がる日常の景色を眺めながら、まずは切り絵のような感覚で、気ままに紙を切っていきます。そうしてできたさまざまな形の紙を高解像度でスキャン。 パソコン上で、形や色にさらなる変化をつけていきます。モチーフを入れ替えてみたり、ぐるぐると回してみるのはもちろん、 ときに重ね合わせたりしながら、大きさや角度を調整。自分がこれだと確信が持てた段階で、その絵から何か新しいものが感じられるか、一歩引いた視点から全体を眺めながらチェックしていくのです。」
作品《Ladle》や《Green Tea》は、何をつくろうとしているのか、はじめからはっきりと意識できていたのに対し、 《Mercury》《Birds of Prey》《Bin Day》などは、思いのままに手を動かしながら、一気にイメージをつくりあげたものだと言います。 ルールに縛られず、ただひたすら製作に没頭する。アイーシャにとっては、こうした自由な遊びの感覚が大切なのです。
AAH YES STUDIOの作品は、グラフィックデザインなのか、それともアートなのか。そう問われることも多いそうですが、アイーシャ自身はこうしたカテゴリーはそれほど重要ではないと話します。
「グラフィックデザインとアートとは別物だと言う人もいるでしょう。でも、私には、どちらのアプローチも必要。スピーディで便利なデジタルの世界も好きですし、実際に自分の手でモノに変化を加えていく感覚も大切。デザインとアートのすき間を埋めたいのかもしれないし、ただ単になんでもやりだけなのかもしれません。」
朗らかなアイーシャの人柄がそのまま表現されているからこそ、AAH YES STUDIOの作品は多くのファンの心を捉えて離さないのでしょう。
翻訳・編集:猪飼尚司
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